New Goat Leather Archive ②

不定期連載のRawtusアーカイブは2008年にブランドが
ローンチしてから現在までで、ベストセラーになったもの
や、特に思い入れがあるもの、などの話をしていきます。

 

Episode 2は2010年の9月にParisで開催された
「WHO’S NEXT 11」でロゥタスが初めて海外進出した時に
登場したモデルで、それ以降、毎シーズンアレンジされ
ながら現在までずっと作り続けているデザインです。

No.1004 . Jersey Combo Leather Cardigan 「ジャージーコンビネーションレザーカーディガン」

 

 

開発にあたってロゥタスのオリジナルNEW GOAT LEATHER
は裏地を付けないで一枚で仕立てる事が出来るという
画期的なアイディアが一番の「ウリ」 しかも厚みも0.4mmと、もの凄く薄く柔らかいのが特徴
なので薄い布地と組み合わせても相性が抜群に良いという
特性がありました。

 

試験的にTシャツやワンピースに使うような
ジャージーの生地とレザーを縫い合わせてみると、
これが思ったより相性が良かったのですね。

 

レザーは仕入れ値も高価で、レザーの使う分量に
比例して値段が決まってしまいます。

なので分量の多いシルエットやロング丈などは
使用する皮革の枚数が多いので、その分だけコストも
高価になるのは避けられません。

 

そこで、ベースの部分だけをレザーにして、そこに別の布地
やジャージー生地を部分使いして接ぎ合せたら
皮革は使う枚数が減るから当然コストが抑えられるだろう
と考えていました。

 

薄さと軽さ、柔らかさを損なわずに、しかもジャージーの
良い部分生かして適材適所に接ぎ合わせることで
画期的な商品が出来るかもしれない、、、と考えていました。

 

<初期モデルはミストウオッシュでシワ付けした>

 

<初期モデルは今とバランスがおおきく異なる>

 

しかし、ここに大きな問題が実はあったのです。

 

問題は2つ。

 

1つは、
通常のレザーの縫製工場では縫えないという点でした。

 

なぜ、レザー工場では縫えないかというと、、、、
普段はライダースに使うような厚い革を縫製しているので、
ミシンの針目が大きく縫う糸もとても太いので、見た目が
ものすごく粗くてカジュアル感が出過ぎてしまうのです。

 

しかも伸びてしまうTシャツに使うようなジャージー生地
などはジャージー専用の特殊ミシンを使って縫製するので
そのミシンがレザー工場には無い!!
という問題もあったからです。

 

<ジャージー用の2本針ステッチ用ミシン>

 

長年、ハードなレザーを縫い続けてきたレザー工場は
ニューゴートレザーのような薄く柔らかい革を縫って
もらっても運針の針目も広く、糸も太すぎて、、、、、
全くデリケートに仕上がって来ません。

 

なので、それを解消するために、
私たちが工場に出向き、思いを伝え、針と糸、さらに
ミシンの押さえ金パーツさえも気を使って細かいところに
神経を行き届かせるようにお願いしてきました。

 

そうすることで工場さんもアイディアを出し合って
考えてくれて、ミシンの押さえ金パーツも
独自のものに改良して縫製することでより繊細な
縫い目にすることが出来ました。

 

 

そして、そういう熟練のレザーの縫製職人を更に困らせたのが
今回のNo.1004の伸びるジャージー生地とレザーをドッキング
したデザイン。

 

このモデルが量産ラインに乗るまでは工場さんと何度も試作
を行い、ミシンの速度や、押さえ金の圧力、歯送りの調子
など工夫したりすることで、様々な方法を考えながら
試験縫製を重ねてついに「ある方法」が編み出されました。
その方法で縫う事で異なる素材同士を綺麗に縫い合わせる事
が出来るようになりました。

 

この接ぎ合せの方法はブランドのノウハウです。

 

<最終仕上げをする職人>

 

理論的には多くのレザーメーカーさんは普通に出来ると
言い切りますが、まず、試験的に縫わせてみるとやはり
クオリティ面が全然ロゥタスの基準を満たせず、
全然上手に縫えません。

 

こういった一見、簡単そうに見えますが、実は工場では
縫えなかった、という問題がニューゴートレザーでは
と多くて、信用のおける認定工場でしか商品化出来ない
というのが現状です。

 

そして、もう1つの問題点は「洗濯方法」でした。

 

これは皮革製品と布帛、ジャージーの洗い方が全く異なる
のでどうやって洗えばよいのか?
というのも問題としてありました。

 

当然、通常は洗濯機や手洗いなとで水洗いしますが、
レザーはそう簡単には洗濯できません。

 

でも、ご安心ください。
ロゥタスが推奨する皮革クリーニング工場では様々な
デザイン物にも洗濯対応をして頂いており、
修理などもよくお願いするのですが、
このプロの工場からプロ品質の直営店が出来たので
個人のお客様でも誰でも直接お願いすることが出来る様に
なりました。

 

通常のクリーニング店さんでも「皮革クリーニングで」
伝えていただくことで専門のクリーニング工場へ送って
洗ってもらっているので、いつもご利用のお店に頼まれて
も良いのですが、新サービスとして宅配で送っても、
持ち込みでもやってくれるので、是非ご利用ください。

 

皮革クリーニングはこちら
逸品工房 特殊クリーニング工場「東京ホールセール」の直営店です

https://www.e-ippin.com/

TEL 042-336-5611

受付時間9:00~18:00

 

というように、新しいアイディアを具現化するには、
原材料もとても重要ですが、縫製してくれる職人さん、
そしてアフターケアなども頭に入れて考えるように
しています。

 

こういう特殊な商品なので、あまり他社からも同じような
コピー商品が出にくいのも
なかなか縫うところが無いからかもしれませんね。

 

本当にNo.1004シリーズは春夏はサラッとしたジャージー
使い、秋冬はウール地で温かみを感じさせる生地を使う
事で年間定番として常に進化し続けています。

 

最新バージョンはベスト型も登場

 
 

次回も名作が登場します。
お楽しみに。To be continued….