WOLF STORY
Photo: Tambako the Jaguar
Raw+の色は自然な物からインスピレーションを得ているのですが、色名を決定するときは「PANTONE」のカラーチャートと併せて一番近い色名を採用しています。
「PANTONE」のカラーチャートは2100色もあり、全ての色に名前が付いているのです。
このWOLFという色も2011秋冬からの継続色でありRaw+の定番色です。
最初は衿に使う付属パーツで使用しようとしていたラクーンの毛皮を取り寄せて見ていたときに少しワイルドな感じのグレーがかった金茶系の色のものがあり、直感的に「狼」を想像してしまった。
私は学生時代にデンマークに本部があるサガ・ファー オブ スカンジナビア(SAGA FURS OF SCANDINAVIA)http://www.sagafurs.com/wps/portal/sagafursが運営する学校に研修生として行っていたことがありました。(SAGAとはデンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの4ヶ国の毛皮生産者団体が共同で設立した団体。)
世界中のファッション学校から数名ずつ派遣されて1ヶ月間の研修を行うプログラムで毛皮の基礎知識から縫製、ケアに関する事まで様々なノウハウを習得できるスクールでした。
その毛皮のスクールでも全くWOLFの毛皮は見ることは無かったし、当然ワシントン条約で禁止されているので狼の毛皮は当然流通もしていない。実際に狼も見たことは無いのですが、深みのあるグレーがかった金茶色のファーを見ていると野性的で雄大な「狼」というイメージが沸き上がってくる。
でも実際に染めるのは毛皮では無く「レザー」なので毛皮ほど深みのある色は出せないだろうな、と思っていたのですが染め上がったレザーはイメージ通りの色に染め上げられていたので2011年秋冬では分量感たっぷりのトレンチコートに仕立てたら色とデザインの相性がとても良かったし、お客様からの評判も高かったので2012秋冬物でも継続して使うことに決めました。
今シーズンは定番のトレンチコート以外にもラップコートでも採用しています。
この色はコートのような大きい面積で表現すると「WOLF」の雄大なイメージと相まって威厳というか高級感のようなイメージが伝わるんじゃないかな、と感じています。